函館山岳会活動の歩み

 函館山岳会は,昭和25年4月に個人37名,社会人団体,高校山岳部等が参加創立されて,平成14年4月で創立52周年を迎えております。創立の経過については,当時函館市体育協会への加盟団体としての山岳団体を結成する必要があったことから,函館に在住していた日本山岳会会員の小島六郎氏が中心となり,戦前から登山活動を続けていた,大葉子会や健行会等と協議し,函館山岳会創立の承認を得て創立されました。
 当時は函館地区の山岳会を統括する団体であり,山行は会員の所属するグループや,会員と一般市民を交えて無雪期に近郊の山々を登っていました。
 昭和30年頃から会員は急速に増加し,会の活動は一般登山者への登山普及活動が中心となり,昭和35年には会員数370名の大所帯と成長し,主な山行山域は横津岳山系,駒ヶ岳,木地挽山系等で,参加者は毎回50〜80名の大勢による市民ハイキング的な登山を行っておりました。
 この頃より当会の活動により得られた登山技術や知識を持って,考えを同じくする人々が独立した山岳会,職域山岳会を設立して巣立っていきました。

 一方では,若手会員が中心となり冬山,岩登り技術の研究,新ルートの開拓等を目的として,研究部が発足し活動を開始しました。
 主な活動では夏期の沢登りによる,松倉川及び赤川源流地域の調査,積雪期では横津岳山系,駒ヶ岳,木地挽山系の登山,不成功に終わりましたが長万部岳から大平山へ挑戦等が行われました。
 昭和38年には函館地区山岳連盟が設立され,本格的に単一山岳会での活動が始まりました。
 一方,昭和35年頃より会員の一部有志から山岳会の山小屋建設の声が大きくなり,資金積み立ても始まり毎週土曜日の荷上げ等,会員の多大な努力により昭和39年12月松倉川源流のアヤメ谷地に大葉子荘が建設されました。
 しかし,横津岳山系の開発が進んだ結果,この山小屋の利用価値も低い存在となり,さらに道の笹刈り,燃料運搬等維持管理の負担が重く,次第に利用されなくなり,平成2年4月には解体しました。
 昭和45年には,会のレベルアップに役割を果たした研究部は発展解消され,会員全体のレベルアップの山行に移行し,縦走,沢登り,岩登りと登山対象の山は道内,本州の山々へと広がりました。

 その後,30数年間において会員個々の努力により会員のレベルは確実に向上し,その成果として,積雪期では道南の狩場山山系,遊楽部山系,大千軒岳山系,道内のニセコ山系,羊蹄山,大雪山系,十勝山系,夕張山系,日高山系,さらに本州北アルプス,八ケ岳山系,夏期では沢登りを中心とした道南の山々,大雪山系,夕張山系,日高山系等に足跡を残しております
 海外登山では昭和52年インド,タルコット峰登山隊への参加(登頂),昭和53年函館インド,ホワイトセール峰登山隊への参加(敗退),昭和54年ネパール,パルチャモ峰(敗退), 昭和63年中華民国,玉山(登頂),平成7年マレーシア,キナバル峰(登頂),平成8年タンザニア,キリマンジェロ峰(登頂)に足跡を残しております。
 海外トレッキングではネパール,ゴーキョピーク(2回),アンナプルナ内院,アンナプルナ山群北部,ランタン渓谷(2回)が行われております。


 しかし,今日までの過程には,死亡事故にはならなかった昭和49年4月前千軒岳行方不明事故(ヘリコプターによる救助),昭和54年7月メップ岳目名沢滑落事故(ヘリコプターによる救助),死亡事故となった昭和63年11月大千軒岳での病気死亡事故が発生し,数回の山行方針の見直しを行っております。
 山岳会の基本方針は,会としての目標は掲げず,会員個々の意欲と努力により,会全体のレベルアップが図られるものと考えており,月2回の全会員レベルに適合した月例山行と,メンバーのレベルによる会員山行を行っております。                   
 現在の会員は13名ですが,会員の高齢化の進行,若手会員の減少により,中高年主体の山岳会となっており年々山行のレベル低下が進展しております。
 現在の主な山行は,月2回の月例山行を実施しており,夏期では道南の山々を主体に一般コースからの尾根歩き登山,積雪期では函館近郊の横津山系,木地挽山系等のスキー登山を実施しております。
 その他,月1回の例会を実施し,山行報告,山行計画の協議等を行っております。
 過去の事故経験から会員山行の管理は,理事会において審査し承認する事にしております。
 創立から,数多くの在籍した会員の努力の積み重ねにより,函館山岳会の今日が有ることを認識し,今後益々の発展を目指して,地道な活動を続けて行く必要が有るものと考えております。
 最後になりますが,昭和47年5月より毎月函館山岳会ニュースの発行を続けており,平成18年12月現在において417号となっております。

 また,このニュースを7〜8年ごとにまとめ,函館山岳会報として3冊の会報を発行しております。
 春一番の花々を求め,夏の沢歩きや高山植物の観賞,秋の紅葉狩り,厳冬の樹氷の中のスキー滑降等,四季の自然を満喫しながら山々を登っております。
 50年以上の伝統が有り,地道な山登りを実践している山岳会ですが,共に末永く登山を楽しむ仲間を募集しております。

   連絡先:0138−57−6861         函館山岳会会長 野口邦夫まで
                         (文責:函館山岳会会長 野口邦夫) 

 

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